平成21年度は、昨年度までに購入したThe Timesのマイクロフィルムを分析した。1940~1945年の戦時期におけるイングランド教会に関する記事を調査し、戦時期のイングランド教会の活動について時系列に沿って整理した。図書に関してはソーシャル・クレジット運動関係の図書を購入し、分析した。イングランド教会の中のアングロ・カソリック派は社会問題に関心を向け、特に金融界への批判を強めていったが、その中で住民の購買力を高めることで地域社会の繁栄を目指すソーシャル・クレジット運動に関心を集中した。特に、聖職者V. A. Demantは様々なパンフレットや著書を通じてアングロ・カソリックの立場から社会問題への関心を示すとともに、ソーシャル・クレジット運動の重要性を訴えた。さらには、それらの考え方が反ユダヤ主義的な方向性を内包している可能性を示した。12月末から1月初めにかけてのロンドンBritish Libraryでの資料調査でも、Demantのパンフレット類を中心に調査・分析した。また、10月及び2月には国立国会図書館で同館所蔵のソーシャル・クレジット運動、さらには反ユダヤ主義に関する文献を調査し、今後の研究の方向性を探った。
|