第二次世界大戦中のイギリスではカンタベリー大主教ウィリアム・テンプルが福祉国家建設への方向性を宗教的に裏付けた。彼の影響力の背景には、イングランド教会内部の聖職者による様々な運動があった。例えば、アングロ・カソリック派のA.V.Demantは、第一次世界大戦以後、自らの宗教的立場から信仰復興運動にかかわるとともに、中世のギルドの復活や高利の禁止を唱えて、金融界に対して批判的な姿勢を示し、やがて地域通貨を目指すソーシャル・クレジット運動に深く関わった。このような宗教的背景の下で戦後におけるイギリス福祉国家の建設が可能であった。
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