研究概要 |
本研究課題は、平成16-19年度基盤研究C「古代ギリシアのポリスにおける碑文慣習文化に関する研究」の発展的継続研究である。 平成19年度前半は、昨年度末以来、準備をすすめていた9月開催の2つの国際学会での報告の準備に集中した。第13回国際ギリシア・ラテン碑文学会(オクスフォード)においては、'A Reconstruction of 'the Regulations for Miletos,'IG I^3 21:Towards Dating to the 420s and Proposing Its Historical Context'という題名で「ミレトス決議」の成立の歴史的背景について、第38回北アフリカ・アジア研究に関する国際会議(ICANAS38、アンカラ)においては、中国宋代の碑石研究にかかわるパネルに参加し、'How Did People Enjoy Epigraphic Culture in Ancient Greece? Inscribing Names on Monuments'という題名で、比較史の立場から古代ギリシアの碑文慣習文化についての報告をおこなった。いずれの報告についても、学会報告の前段階で、あるいは事後報告の形で日本の研究者にむけても口頭報告をおこない、意見交換をおこなった。ICANASでの報告については、プロシーディングズに載せるための原稿をすでに学会事務局に送付している。 平成19年度は、デロス同盟における貢租徴収と納入・保管場所についての研究にあらたに着手し、同盟国からの貢租はポリスたるアテナイにとっていかなる位置づけにあったのかについての考察をすすめつつある。本研究の主目的である古代ギリシア世界の外交構築のあり方を考える上で中心的な課題の1つなると予想しているが、次年度の現地調査を通じて成果を報告し、まとめていきたいと考えている。 また、古代ギリシアにおける外交のあり方について、アルカイック期からヘレニズム期まで通時的に考察するための準備にとりかかった。主として碑文史料から共通性と変化について整理している段階である。
|