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2009 年度 実績報告書

古代日本における度量衡制の成立・整備・展開の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19520650
研究機関東京学芸大学

研究代表者

木下 正史  東京学芸大学, 特任教授 (70000487)

キーワード高麗尺・唐尺 / 大尺・小尺 / 都城制 / 官寺・氏寺 / 地方官衙 / 鋳貨と度量衡 / 枡・陶器枡 / 権衡
研究概要

1、飛鳥・藤原京、平城京を中心に宮都・寺院遺跡における尺度関係資料を収集・整理・分析した。その結果、唐尺の使用は7世紀中頃に宮都中枢部や天皇発願の官寺の造営から始まることを明らかにした。それは飛鳥への宮都の定着、そして京制の成立、都づくりの本格化と相関することを具体的に跡づけた。唐尺の使用例は舒明天皇による百済大寺の造営が最初であり、それには大匠書直県が深く関与しているという見通しを得た。7世紀中頃前後の唐尺の実長は約29,3cmであり、それは6世紀末の飛鳥寺造営尺約35,2cmと1:1、2の関係にあり、この時点で大尺・小尺の制度が成立していた可能性が高いことを明らかにした。飛鳥京上層宮殿(飛鳥浄御原宮)の段階に至り、天平尺に近い唐尺の使用が始まり、尺度制の統一・整備が進展する画期であることを明確にした。地方官衙・寺院等の遺跡における尺度関係資料を収集・整理・分析した結果、地方においても7世紀後半に唐尺の使用が始まるが、規格性の高い唐尺(天平尺)の使用、統一化は、8世紀前半における国訴・国庁の整備期まで下ることを明確にした。
2、量衡について'も、関連資料の収集・整理・分析を進めた。とくに平城宮・京における銅製・石製の錘などの権衡関係資料、銅製・陶器製の枡などの量関係資料を収集・分析して、7・8世紀の衡制は唐制ではなく、隋制に基づいていることを明確にした。また、「一合」などの墨書のある須恵器枡は、平城京では下級官人を含む広範な人々の間で使用され、量制が相当に普及していた実態を明らかにした。同様の須恵器枡は、各地の8世紀後半から9世紀にかけての遺跡から相当数が発見されており、量制の整備・統一化が各地で進展している様態を明確にした。
3、古代中国、百済、新羅における度量衡関係資料の収集・整理・分析を進めた。その結果、秦始皇帝による度量衡統一時の1尺の実長は23,1cmで、それが前漢・後漢時代に引き継がれ、三国時代に24,1cmほどに伸びて、唐時代から29,0cm~31,0cmの大尺制が採用されるなど、中国古代尺度の変遷過程を詳細に明らかにする成果を得た。また、百済の王宮・寺院遺跡では高麗尺使用が大半であり、一方、新羅では7世紀中頃から後半造営の皇隆寺や雁鴨池の遺跡では唐尺の使用が始まっているなど古代朝鮮半島諸国での度量衡制の動向を明らかにする成果を得た。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群2010

    • 著者名/発表者名
      木下正史
    • 雑誌名

      季刊明日香風 113

      ページ: 4-12

  • [学会発表] 飛鳥・藤原京-「文明開化」の時代2009

    • 著者名/発表者名
      木下正史
    • 学会等名
      日本考古学会講演会
    • 発表場所
      東京国立博物館(東京都)
    • 年月日
      2009-09-26
  • [図書] 飛鳥から藤原京へ2010

    • 著者名/発表者名
      木下正史・編著
    • 出版者
      吉川弘文館(印刷中)

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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