研究概要 |
東京国立博物館,石川県立美術館,九谷焼美術館,九谷焼窯跡資料館,谿声美術館などの国内博物館や美術館の所蔵品や特別展の出版物から,再興九谷焼写真のデジタルデーター化を行った。また遺跡出土の再興九谷焼の資料化作業として,金沢市内出土の再興九谷焼を報告書から抽出,整理した。研究代表者が担当する宝町遺跡出土品についても,実測・写真撮影の作業の進行に従って順次デジタルデーター化をおこない,他遺跡との比較検討資料として活用するべく作業中である。 再興九谷焼の製品の特色や時代性をみるために,同時期の窯と比較する目的で肥前地方を訪れた。有田町民俗資料館,佐賀県立陶磁文化館,波佐見町教育委員会,志田焼の里資料館では,それぞれの窯毎に,各時代の生産状況と窯跡出土品や伝製品を詳しく研究した。出版物では紹介されていない多くの遺物をも写真撮影し,整理研究中である。それぞれの窯毎の製品比較,生産技術の検討をおこなっている。 ロンドンの大英博物館,ビクトリアファンドアルバート美術館を訪問し,展示されている再興九谷焼の写真撮影をおこない資料化した。両博物館とも陶製磁器関連施設を改装中であるため,収蔵庫資料研究は次回の訪問時に譲った。また,伝世品を多く扱うポートベローロードでは,英国人好みの日本陶磁を多く見ることができ,明治以降の品々は多種に及ぶことが確認できた。文献資料の収集もおこない,購入者の視点からの日本陶磁研究の実情を知ることができた。 新しい時代であるためにまだ注目度の低い再興九谷焼資料のデータベース化は本研究の基礎作業であり,未発表資料を含め国内外の多くのデーターを収集することができているのは大きな成果である。
|