韓国慶州の王陵・王京・寺院など新羅および統一新羅の遺跡を調査した。また金海大成洞古墳群や高霊池山洞古墳群などの加耶古墳の調査をおこなった。 中国の吉林省集安で、高句麗の都城と王陵を踏査した。集安の巨大積石塚の編年学的研究にもとづき、王陵を比定した。フイルド調査をふまえ、発掘報告書を分析し、積石塚の築造規格、陵園の構造や造営規格などを明らかにした。その成果は韓国東北アジア研究財団主催のセミナー(2007年12月20日、ソウル)で発表した。2008年に『高句麗王陵研究』が公刊される予定である。高句麗墓制研究の新たな成果といえる。 湖北省・湖南省・貴州省・四川省で、股周や漢、三国の出土資料を調査した。貴州省の夜郎国、雲南省の演国の「西南蕃」関係の遺物を観察し、減国や夫餘などの「東夷伝」の諸国と比較した。『三国志』の世界の踏査は、「東夷」諸国のなかの倭王権について考えるうえで有意義であった。 七支刀と百済の製鉄技術にういての研究をすすめた。七支刀が10等分に設計された鋳造品であるとの説をうちだした。倭と百済の王権間の国際的外交関係のなかで、七支刀が贈られ、鉄素材(鉄?)とともに鍛冶・金工技術が流入した。『日本書紀』神功紀にみえる百済王から贈られた「鉄?(ねりがね)」の記事は4世紀代の史実にもとつくものと解釈した。 また実施計画でふれた、東アジアの壁画の図像学的研究をおこなった。そのなかでキトラ・高松塚古墳壁画を東アジア的視座から位置づけた。平成20年度にその成果を公表する予定である。
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