研究概要 |
後期旧石器時代の人類の居住のありかたを類型として把握し,国際比較をおこなうことが目的である.特に東アジア圏における比較をおこなうために,研究代表者がこれまで実証的に研究を進めてきた新潟県小千谷市真人原遺跡の成果を,このプロジェクト用に組み直しの作業をおこなった.また補足的に資料整理をおこない,黒曜石の産地分析の追加分析をおこなった.その結果,青森県男鹿,深浦の黒曜石が真人原A地点まで運ばれていることが明らかとなった.居住のパターンを解釈する上で新しい知見をえた.石器石材の分析から居住の類型を検討する有効性が一層あきらかとなった.これによりすでに出されているモデルを再検討することが可能となった. 2007年11月につくば市で開催された日本第四紀学会の国際シンポジウムにおいて第4セション(Environmental Changes and Human Occupation in North and East Asia during OIS3 and OIS2)を組織した.本科研費で中国,ロシア,北米の研究者各1名を招聘し,当該のテーマに関連した報告がおこなわれた.調査状況に差があるため,比較に困難な面もあったが,通常の居住様式と狩猟解体場の状況の分離とその可能性などについて,成果を得た. また,12月にロシア共和国ノボシビルスク市の科学アカデミーシベリア支部考古学民族学研究所で本課題に関連したテーマで,日本列島における人類の居住について研究の現状と問題点を報告した.
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