研究課題/領域番号 |
19520660
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高橋 龍三郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80163301)
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研究分担者 |
井出 浩正 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (20434235)
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キーワード | パプア・ニューギニア / 民族誌調査 / 伝統的社会 / 親族組織 / 土器型式 / 空間分布 / 民族考古学 / 発掘調査 |
研究概要 |
パプア・ニューギニアのミルンベイ州、イーストケープ地方のダワタイ村にて、8月11日から同25日まで、家庭的土器生産の実態を検討するために民族誌調査を実施した。伝統的な土器生産様式で、製作技術や装飾文様などが母親から子供(娘)を通じて継承されるために、比較的斉一的な土器型式がイーストケープ地方に分布する。この現象は縄文時代の土器型式と共通した分布状況である。したがって、縄文土器型式の地域的分布をもたらしたエイジェンシーが、一体何であるのかを、確認するには最良の比較材料となる。ダワタイ村に居住しながら、早稲田大学の大学院ゼミ生3名、東京大学大学院生1名、合計5名で合宿しながら民族誌調査を実施した。土器型式がどのような経緯で地理的空間的に分布するのかについて調査するために、イーストケープ地方の村々を巡回して調査した。村々の位置をGPSで正確に記録しながら、家ごとに保有する土器を写真や実測図ですべて記録し、その製作者の氏名や親子・親戚関係等を逐一記録しながら調査を進めた。土器型式の分布が、製作者である女性の婚出や移動などと関連するので、親族組織のあり方や婚姻関係について特に注意しながら聴き取り調査を進めた。また型式変化を促す要因として、地域で一番優れた土器製作者の動向が最も重要なので、ダワタイ村のデロガニ女史に聴き取りを行い、合わせて彼女の製作した土器を多数実測記録した。 縄文土器型式の実態を調べ、民族誌データと比較するために、千葉県印旛村所在の戸ノ内貝塚の発掘調査を実施した。早稲田大学が実施する考古学実習(9月1日〜同24日)を利用して、幸運にも縄文晩期の竪穴住居が検出されたので、そこから出土する土器型式をすべて抽出して、実測などの基礎作業を行った。一軒の家から出土した一型式内の変異を調べ、民族誌と比較するための準備を整えた。
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