研究概要 |
2007年5月初旬、トルコ共和国ガジアンテップ県カルケミシュ郡を訪れ、ガジアンテップ博物館長と共にシリア国境に位置するカルケミシュ遺跡の現状を視察した。博物館長、カルケミシュの郡長、町長、警察署長、軍の担当者からカルケミシュの現状についての情報を得ると共に、発掘調査の可能性について話し合いをすることが出来た。現在遺跡には地雷原が敷かれているが,その撤去,今後の調査の可能性についての情報を交換した。ガジアンテップ県知事との会談では、遺跡調査についでの意見を交換した。県、郡また文化観光省は、カルケミシュ遺跡がトルコの中でも最も重要な遺跡の一つであり、その調査が必要であることを強調していた。 本研究の第一の目的は、散逸しているカルケミシュ遺跡発掘調査で出土した遺物のうち,何がどこに保存されているかを確認し、その情報をまとめ、カルケミシュ関連資料に関する情報を収集することである。この目的に従って,11月にロンドンの大英博物館、12月にアンカラのアナトリア文明博物館とイスタンブールの考古学博物館を訪れ,調査を行った。 大英博物館では、発掘によって出土した遺物に関しては博物館のデータベースからそのデータを入手した。また発掘時のフィールドノート、博物館への手書きの報告書、発掘者と博物館の間でやりとりされた書簡等、一般に公開されていない資料を確認し、閲覧することが出来た。 アンカラ、アナトリア文明博物館とイスタンブール考古学博物館では、両館の所蔵品カードの中からカルケミシュ遺跡出土の所蔵品を抽出してもらい、それをスキャン、または撮影を行って情報を収集した。残念ながら所蔵品カードのいくつかが所在不明となっており、確認できなかった。これらは来年度の再調査の際に情報収集する予定である。 その後、これらの入手した資料の整理作業を行った。
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