改正まちづくり三法は都市構造を拡散型から集約型に転換しうる制度的枠組みを整備した。大規模集客施設のうち売場面積1万m^2を超える大規模小売店舗の新規出店申請は、その立地可能地域が原則的に商業地域と近隣商業地域に限定されることになり、2003年から2007年まで700件前後を推移してきたのが2008年には513件に減少した。なかでも福島県は「持続可能な歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり」を実現する目的で、売場面積6000m^2以上の小売店舗について「特定大規模小売店舗」に指定し、その立地の抑制と誘導、さらには広域調整を図る「商業まちづくり条例」を施行していることから、2008年における6000m^2以上の小売店舗の新規出店申請は皆無であった。このことは改正都市計画法や商業まちづくり条例は大型店舗の新規出店の抑制には一定の効果が見られたものの、大型店舗を中心市街地に立地誘導することについては全く効果がなかったことを意味する。コンパクトシティのモデルとして全国的に注目される青森市においても同様であり、新中心市街地活性化基本計画が国に認定されたとはいえ、なお消費購買力を中心市街地に還流させるには至っていない。コンパクトなまちづくりは、中心市街地への単純な一極集中を目指すものではなく、歩いて暮らせるという視点から社会サービス・消費生活サービス拠点をクリスタラー型の立地配置を基本としながら、中心市街地、郊外地域、中山間地域のそれぞれの地域特性に見合ったきめ細やかな立地の誘導と抑制が必要となる。福島県の商業まちづくり条例に基づく市町村の「基本構想」の策定はその先駆例であり、白河市、二本松市、田村市、会津坂下町、会津美里町などでは6000m^2未満の小売店舗の立地の抑制と促進に関する検討が進んでいる。また福島県は特定大型店舗の立地誘導促進のために、大店立地法における県の手続きの簡略化を図る運用を決めている。
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