改正まちづくり三法のモデルの1つとして先行的に2005年に制定された福島県商業まちづくり条例には3つの問題点が指摘されてきているが、福島県が施策としてどのように対応しようとしているのかを調査した結果、以下のようなこと3つのことが判明した。 第1は6000m^2という立地規制が相対的に厳しい福島県が都市商業集積問の商圏競合において厳しい状況におかれるのではないかという危惧である。確かに福島県から県外(特に仙台市)への消費購買流出が増加していることが確認されており、これには特定大型店が出店しやすくするために、大店立地法による出店手続きの簡略化を決めており、その第1号が平成22年度に福島市において適用される可能性が高まっている。 第2は商業集積の適正配置を進める市町村の受け皿づくりへの懸念である。これについては商業まちづくり基本構想が福島市・白河市・二本松市・田村市・会津坂下町・会津美里町などで策定が進み、モデル事例として県内に紹介されている。特に福島市と白河市は中心市街地活性化基本計画が国によって認定されており、これとの連携によって魅力ある商業集積の再生が期待されている。他方、郊外における土地利用規制の進め方については福島県三春町中妻地区でモデル的に見られるように、地権者と住民と行政とが一体となって将来ビジョンの策定への取り組みが重要であることが判明した。 第3は地域貢献活動ガイドラインでの特定大型店の取り組み姿勢のマンネリ化への対応であり、この間の経験から定型項目での実施率を高めるためには、大型店に対して取り組みやすくするために行政からきめ細かな情報提供だけでなく、行政と大型店とが一堂に会した「場」における積極的な意見交換が重要であることが確認された。
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