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2009 年度 実績報告書

オルタナティブな食料生産システムからみた農業地域の発展機構に関する地理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19520672
研究機関愛知教育大学

研究代表者

伊藤 貴啓  愛知教育大学, 教育学部, 教授 (10223158)

キーワードイノベーションの連続的創造 / 知識経済 / 農業地域の自立的発展 / 総合的病害虫管理(IPM) / 協働的競争と共生 / 静岡県茶業地域 / 情報の伝播
研究概要

本研究は、「農業地域の発展に結びつく、技術革新が連続的に生起するメカニズム」をIPMという暗黙知の技術体系の獲得を指標に実証的に解明するものであり、具体的には、「地域構成主体による連続的知識創造とその普及が農業地域の発展をもたらし、その連続的知識創造と普及に構成主体間の競争と共生が関わっている」という仮説を検証するものである。平成21年度は19・20年度に行った高知県を事例とした施設野菜園芸地域と比較するため、静岡県茶業地域におけるIPM普及の状況をその技術開発と普及過程という観点から調査を進め、比較分析を行った。その結果、(1)茶業のIPM技術はアグリビジネスとの協同によって農業試験場(国と県)での創造を主とすること、(2)しかしながら、その普及は施設野菜園芸地域の場合と比べて進展していないこと、(3)それはイノベーションの普及における学びの仕組みが施設野菜園芸地域と異なってみられなかったり、みられてもその機能が弱く、情報の共通と流動がはかられていないためであったこと、の3点が明らかになった。
以上から、本研究では、農業地域の発展が「地域構成主体による連続的知識創造とその普及によってもたらされ、その連続的知識創造と普及に構成主体間の協働的競争が関わっている」ことが明らかになった。日本と異なり、オランダ・ドイツではIPM農産物がスーパー等で一般的に見られる。これは日本の生産者の既存意識(害虫は化学農薬で防除)のほか、消費者や小売業等の認識不足とそれに伴う経済的インセンティブの無さによるところが大きい。しかし、各地の農産物直売所で販売額が増えていることをみれば、消費者がオルタナティブな農産物やオルタナティブな供給ネットワークを求めていることは理解できる。このことは、現代のアグロフードシステム下で農業地域の発展を理解するには本研究のような産地構成主体の関係性や地域的諸条件の解明だけでなく、産地外の消費者、さらに生産者と消費者をつなぐ企業等が農産物の品質をめぐっていかなる関係性を構築しているのかをさらに明らかにする必要があるといえよう。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 前回報告しなかった分として、研究成果の社会還元として以下がある。2009年2月3日 知多高等学校社会科研究会にて「虫を無視できない農業のお話し」と題して本科研による研究成果の一部を講演

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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