地理情報システムを利用した前方後円墳のデータベースを構築して、九州と近畿を対象に前方後円墳を中心とする古墳文化の受容のありようとその地域的な展開を、分布論的にアプローチした。その結果、(1)両地域における大型前方後円墳の比率の時期別推移に大きな相違がみられること、(2)代表的威信財である三角縁神獣鏡と画文帯神獣鏡の時期別分布は両地域で大きな差違があり、近畿では画文帯神獣鏡の分布が中心部に集中する傾向が強いこと、(3)時期別・規模別に検討を加えた結果、九州地方では前方後円墳の階層性は地域的には一様ではないこと等、分布に関連して多くの興味深い知見が得られた。
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