本研究課題に関する平成19年度の研究実績は以下のとおりである。 第一に、建築系教官および院生と協同し、古民家を改装し、ハードウェアとしての地域づくりの拠点とした。この空間を軸に展開される種々のアクターを県、市、地区、商工会、地域振興会、各種NGOなどに分類し、各アクター間の関係性の構造を明らかにした。 第二に、大学および大学院における「野外調査法」の実習を通して、学生主体による地域での聞き取り調査を指導し、民族誌の作成を進めた。とくに北條地区のフィールドワークを中心とし、伝統的な生活習慣の調査だけでなく、地域づくりの歴史的経緯や地域づくりについて、一般の住民がどのように捉えているかまで明らかにした。そうした成果をもとに、実践的な地域づくりへの参画の可能性の吟味を行った。具体的には、改装した古民家を住民及び外来者の交流および情報発信の基地とすべく、ソフトウェアとしてのHP、ブログの立ち上げを行い、日々のイベント情報の発信熊勢を整えた。 第三に、大学の主催となる地域連携プロジェクト「筑波山ルネサンス」フォーラムによるシンポジウムを実施し、今年度は北條地区の地域づくりの展開を発表し、議論するセッションを設けた。シンポジウムの司会者の立場から、地域づくりに必要な要素を総括し、とくにこの地域での展開という観点から、どのような要素が必要かということを、発表者およびオーディエンスに対して問題提起した。北條地区の拠点づくりが他地区での地域づくりのモデルとなるかどうかについての吟味も行った。
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