開発論および地域おこしの文献、筑波山麓地域の自然、歴史、文化、行政プロジェクトに関する資料のデータベースの更新を行った。 筑波山麓地域という空間をノーマン・ロングのいうソーシャル・フィールド(社会的な場)と捉えた場合、小田、北條、筑波、臼井、神郡、平沢など各地区は、その下位空間を構成するドメイン(空間領域)とされるが、実際にはソーシャル・フィールドとドメインは単純な階層構造ではないたφ、行政が設定する筑波山麓地域(旧筑波村)と各地区との関係性を見極めることが重要となる。 平成20年度は、平沢地区を集中調査し、その地区の視点から捉えた筑波山麓地域像を明らかにすることに努めた。また、地域おこしのリーダーなどのキー・パーソンにインタビューを試み、アクターとしての総合的把握とそれらアクター間の関係性を明らかにすることを試みた。 具体的には、大学および大学院での「野外調査法」の実習を通じて、学生主体による山麓地域の聞き取り調査を指導・実施し、さまざまなインフォーマントへの聞き取り調査の報告を整理した。生態や伝承、生業、社会構造や世界観、個人の生活史、行政の関わり方などの全般的な調査のほか、生成しつつある地域おこしの運動に対する意識調査を実施した。 そうした調査研究の成果として、成城大学民俗学研究所グローカル研究センター主催公開シンポジウム『グローカル研究の可能性』において、グローカルな地域づくりの事例として、筑波山山麓地域を鳥取県や大分県の事例と比較し、これまでの経緯と今後の展開などについて報告した。
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