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2008 年度 実績報告書

ポスト社会主義のモンゴル国における牧畜経営と国際開発援助

研究課題

研究課題/領域番号 19520693
研究機関東京外国語大学

研究代表者

上村 明  東京外国語大学, 外国語学部, 研究員 (90376830)

キーワード開発研究 / コミュニティ / コモンズ / ポスト社会主義 / モンゴル
研究概要

この1年の研究によって、モンゴル国における牧畜の現状と牧畜民の意識、国際援助プログラムのよってたつ"community"イメージ、それらの相互作用とそれが起こりそれに作用する政治社会的な構造が、かなり明らかになった。
本年度は、開発援助プログラムが実施されている2つのサイトで調査を実施した。
ひとつは、西部地方のサイトである。ここでは、数年降水量のすくない年がつづき牧地の悪化が起こっている。それに対する牧畜民の対応は、降水量がおおく市場にちかい中部地方への移住と、すこしでも草の生え具合のよい場所の囲い込みであった。これには、2002年土地法と白然環境保護法を根拠とする国際援助プログラムの後押しが見られる。
二つ目は、中央地方に位置するサイトである。ここには、乾燥状態のつづく南隣りの県の牧畜民が多数流入し、牧地をめぐって地元の牧畜民と衝突が起こっている。これに対して、地元の牧畜民には、行政が動かないため、やはり国際開発プロジェクトを利用し、牧地の囲い込みをおこなおうとする動きが見られる。
どちらも、気候変化が社会状況の変化をもたらし、それに行政など現在のしくみでは対処できないことから、国際開発援助に期待するのである。
一方、国際開発プロジェクトが想定し、牧地法で規定しようとしている、牧地管理の主体の"community"である「牧民グループ」には、つぎのような問題点がある。ひとつは、法律で一律に小規模なグループを組織しようとしている点である。これは、Ostrom (1990)によるコモンズ持続的存立のための条件を根拠としているが、牧地という自然資源の性質や地域的な差異を無視している。二つ目が、「牧民グループ」を"firm"に見立てている点である。
これらは、市場経済化の一環をなす、経済活動への政治関与の排除、経済活動の自立というグローバルスタンダードのあらわれといえる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 21世紀モンゴル国における牧畜-国際援助におけるProperty-rights Approach批判2008

    • 著者名/発表者名
      上村明
    • 雑誌名

      日本とモンゴル 117(48-1)

      ページ: 15-30

  • [雑誌論文] Implementing Mongolia's Land Law : Progress and Issues : Final Report, a Research Project of the Central for Asian Legal Eχchange (CALE)2008

    • 著者名/発表者名
      Fernandez-Gimenez M., A. Kamimura, B. Batbuyan
    • 雑誌名

      CALE Reports (Web version) Vol. 1

      ページ: 1-56

  • [学会発表] モンゴル国Hovd県の生態系に遊牧パターンが与える影響のモデルシミュレーション(ポスター発表)2009

    • 著者名/発表者名
      長谷川成明, 石井励一郎, 上村明, 山村則男
    • 学会等名
      日本生態学会第56回大会
    • 発表場所
      岩手県立大学
    • 年月日
      2009-03-17
  • [学会発表] モンゴル国における『牧地保有』の概念について-調査方法とデータ-2008

    • 著者名/発表者名
      上村明
    • 学会等名
      International Conference on Global Order from the Perspective of Archives, History, Literature, and Media : Focus on North East Asian Society
    • 発表場所
      モンゴル国
    • 年月日
      2008-06-25
  • [図書] A New Global Order in North East Asia, Proceedings of the International Conference on Global Order from the Perspective of Archives, History, Literature, and Media : Focus on North East Asian Society, June 23-25, 2008 Ulaanbaatar, Mongolia. 論文「モンゴル国における『牧地保有』の概念について-調査方法とデータ-」2009

    • 著者名/発表者名
      Imanishi Junko, et al.
    • 総ページ数
      365-374
    • 出版者
      Fukyosha
  • [備考]

    • URL

      http://mongol.tufs.ac.jp/kamimura/

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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