本研究は、自然と社会をめぐる人文社会科学領域における先行研究を批判的に継承しつつ、文化人類学的なフィールドワークの方法を用いて、中国新疆ウイグル自治区のモンゴル族諸地域を事例に、(1)その地域間、住民の世代間にみられる自然認識の相違と国家による諸政策やイデオロギー教育との関係について考察すること、(2)そうした相違の存在にもかかわらず、住民たちと動植物との関係のあり方を律するような、社会全体に流通している共通観念やその意味を読みとくことで、社会文化的な側面から環境問題への理解を深化させるものである。
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