高知、札幌、名古屋、長崎佐世保、神奈川県大井町のほか、東京・首都圏のよさこい系の祭り(池袋・朝霞、坂戸、千葉など)についても、印刷資料とともに現地で聞き取り調査を行ない、資料の収集と集積に努めた。高知においては、全般的な調査に加えて地区競演場の自主的・柔軟な企画・運営の実態と、それを可能とする独自の住民自治と協力の伝統が明らかとなりつつある。一方、当初から主導者の指導性によりきわめて計画的かつ組織的に行われてきた札幌をはじめ、これに倣った各地の「よさこいソーラン系の祭りでは、祝祭性と規制をどう両立させるか、市民の主体性と行政・企業の支援をどう調整するか、という葛藤・ディレンマが共通の課題として浮上していることが明らかとなり、こうした課題については聞き取り調査と平行して、セミナー(名古屋)やワークショップ(北海道)も有効な機会となった。また、これら祭りを契機とした地域を越えた交流が、参加者にとって新たな社会性を開き、大きな魅力と動機づけとなっていることも今後の課題として浮上してきた。
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