沖縄県で沖縄島に次いで大きい面積を有する西表島で今日まで伝承されている地名を、可能な限り細大もらさず記録し、それを多様な利用が可能なデータベースの形にすることをめざしている。地名そのものについての情報収集は、西部地区では、これまでの30年余の調査によってほぼ完成に近づいているので、方言による発音の確認を地元の人々とともに実施した。比較的調査の密度が薄い東部地区においては、同様の方言確認調査を行うとともに、海中地名にも注意を払う補充調査に着手した。さらに、最近利用が可能になった1945年の米軍撮影の高精細な空中写真を用いたききとりも、集落とその周辺について実施中である。これまでに記録した1300項目の地名再確認の作業は、地元住民との十分な事前の連絡のもとで、実地調査をおこなっている。調査で持ち帰った資料は、デジタル化して、データベースに収録する準備を重ねている。 とくに、19年度は、島の東部での追加調査に加えて、西部の網取、崎山廃村の地名の石垣島での聞取り、祖納、干立の話者からの発音の確認と現地調査、東部の古見における聞取り調査を実施し、さらに、従来報告されている地名(誤記を含む)の総点検をめざして文献調査を実施した。 地名の発音や地名をめぐる様々な伝承や歌を記録するために、デジタルビデオカメラを用い、編集とデータベース管理のために画像編集に適したパソコンを購入してまとめを進めつつ、次年度の調査とデータベース化に供えている。
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