研究課題/領域番号 |
19520708
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
倉石 あつ子 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (60316669)
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研究分担者 |
泉 雅博 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (80245141)
鈴木 明子 東洋大学, 東洋文化研究所, 研究員 (40424642)
亀井 好恵 成城大学, 民俗学研究所, 研究員 (50449104)
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キーワード | 衛生 / 清潔 / 不潔 / 医療 / 教育 / しつけ / 家政 |
研究概要 |
19年度予定していた活動は『女学世界』をまず分析することであった。『女学世界』のI期分8冊の分析を衛生・清潔・不潔・医療・教育・しつけ・家政などをキーワードに分析し、その成果は研究成果欄に記入している。ただ、見落としもあり20年度再度補充的作業が必要である。『女学世界』に引き続き、『貴女の友』の分析を『女学世界』のキーワードを基にして行ったが、二つの雑誌群の異同を分析するところまで作業は進んでいない。20年度の作業を行うためにも、上記二つの雑誌群の資料の比較分析は20年度当初の作業として必要なことである。二つの作業を通していえることは、一般の女子教育の中では『衛生』という語を用いて教育するのではなく、女性として如何にあるべきかという道徳的および家政教育の中において保育・看病・介護などの問題を取り上げ、啓蒙的な医学知識を伝授しようとしている行政側の姿勢が読み取れる。衛生という語はむしろ女子教育の中で直接的に使われるのではなく、雑誌の広告分何度に多く見られることは、明治中期ごろには「衛生」概念がおおむね出来上がり、啓蒙的な医学知識はより具体的な生活の中における行為の一つ一つとして教育の中で取り上げられつつあったことが推測される。 こうした19年度の成果を踏まえて、20年度は『女学世界』第II期分の分析を継続し、19年度見えてきた理論的枠組みの資料収集を行っていくこととする。 19年度の二つ目の活動としては、女性の衛生的暮らしと大きくかかわった産屋等の調査をおこなった。京都府福知山市三和町の産屋は、民俗学研究史上でも以前から取り上げられている着目すべき産屋の一つであったが、19年度は三和町の産屋調査を行った。従来、天地根元造りの産屋の形態が着目されていたが、実はこの産屋の存在には近くに鎮座する大原神社が大きくかかわっていおり、産屋の砂=子安砂の伝播範囲等に大きく影響していることがわかった。産屋には7日間入るといわれているが、産屋内における生活の実態と衛生観念のかかわりについて継続的に調査を行っていくこととする。
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