ケニア東南部の山地農耕民タイタ人の世界に関する文化人類学的研究の一環として、デジタルメディアを介した発話記録の収集とその分析を通して、文化人類学的視点からタイタ語のコーパスの動的側面を明らかにすることが本研究の目的である。平成19年度からの継続研究として、タイタ語の発話記録を収録した。平成20年度では、前半で、基礎語彙と例文に関する収録をおこなった。後半で、拙著(坂本、2001)でとりあげた「体験された呪術」(原文はタイタ語)を音声言語の形で収録した。これらに関しては、ネイティヴスピーカーのチェックを受けるために、夏と春に短期間現地に赴き、対面調査を通じてデータの充実に努めた。 I2008年4月〜7月:タイタ語の語彙に関する研究、既収録語彙の整理、例文の妥当性の点検 II2008年8月〜9月:ケニアでの調査研究、資料収集 現地調査協力者とともに基礎語彙と例文に関する収録をおこなった。 III2008年10月〜2009年2月:収録内容の整理(英語、スワヒリ語、タイタ語) IV2009年3月:ケニアでの調査研究、資料収集 現地調査協力者とともに「語り」に関する収録をおこなった。次回調査の実施項目の確認。語彙の収録に時間を要してしまったが、これでネイティヴスピーカーによる基礎語彙の発音に関して記録を取ることができた。以上により、前年度実施した文法に関する収録に加え、基礎語彙に関する収録が完了した。今後は、「語り」の部分の収録を中心に進めていくこととする。
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