平成21年度は、次の項目の現地調査を行なうとともに、著者、編著として論文の執筆を行ない、研究の成果発表に努めた。 1現地調査 (1)ジャカルタ市水道公社調査 民営化されたジャカルタ市水道公社の民営化にともなう影響として、スンダ・クラパ旧港付近の貧困地帯での水道用水の普及の実態調査を行なった。この地区では、地域のボスが水道公社の「許可」を得て、水道管から大量の取水をして、洗車場を経営しているので、住民には水道水が供給されず、住民は「ボス」の販売する水を買わざるを得ない状況にある。この地区の住民は、水道料の不払いという抵抗を続け、新鮮な水の供給を求める闘いを行っている。 (2)スカブミ県での水ビジネスの実態調査 昨年度実施咲いた調査の継続と、その周辺地区での実態調査を行なった。今年度は特に、水源から住民の水田への水の供給の実態を確認した。 (3)西スマトラでの「水戦争」の実態調査 2009年9月31日の「西スマトラ地震」の直後に現地を訪れ、その被害の実態調査を行なうとともに、この10年間継続して観察してきたカパロ・ヒラランでの「水戦争」の実態調査を行なった。パダンパリアマン県の県都であったパリアマン市が行政上県と同等な地位を得ると、新県都が選ばれた。しかしその新県都は、現県知事の母親の出身村であり、ここにカパロ・ヒラランから水道を引く計画が発表されるや、大規模な反対運動が起きた。 2成果のまとめ (1)インドネシアの水ビジネス土地紛争に関連する論文二本の執筆 (2)西スマトラにおけるアブラヤシ開発と土地紛争に関する英文論文の執筆 (3)CIAS(京大地域研究統括情報センター)の資金援助で行なった研究の報告書(二分冊)の編集出版
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