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2010 年度 実績報告書

文化遺産の担い手に関する民族誌:アソシエーションの公共性に関する人類学的考察

研究課題

研究課題/領域番号 19520712
研究機関早稲田大学

研究代表者

竹中 宏子  早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (30376967)

キーワード文化人類学 / 文化遺産 / 個人 / アソシェーション / ガリシア / サンティアゴ巡礼路
研究概要

本研究は、文化遺産を担うアソシエーション会員の個人史と彼らの実際の生活から立ち上がる民族誌を、文化遺産との関係で記述することを目的としている。研究対象は、サンティアゴ巡礼路(スペイン)を含めた地域の文化遺産に関わり、文化活動を展開するアソシエーションとその成員である。サンティアゴ巡礼路はスペイン国内でも900kmに及ぶので、特に聖地が位置するガリシア(州)で展開される現象に着目した。
平成22年度は、それまで収集した文献資料とフィールドワークで得られた情報を整理・分析・まとめる作業を主軸とし、補足調査を一回行った。まとめに際し、文化遺産に関わる個人の活動が公共性または社会性を帯びる様態を中心に分析を行い、論文発表の準備を進めている。そこでは、インフォーマントの「生活」も考慮することで、運動組織の理念や実践の解明だけに終わらない考察を行っている。そこから、次のような研究成果および意義が得られるだろう。
従来では一般に、個人よりも集団で行動する方が社会の現状を改善しやすく、アソシエーションが地域における資源の文化化の担い手および主体として取り上げられることが多かった。しかし、本研究のようにアソシエーションより更にミクロな個人の動きを微細に追うことにより、集団と深く関わりながらもそこからはみ出した個人的な行動や、逆に集団とは距離を取りながら外部から関係をもつことにより、衰退した地域の活性化に貢献する個人の姿が捉えられる。また、その行動の特徴は、利他的なものとは限らず、むしろ私的な欲求の充足という動機にみられる。それでも本研究で扱ったインフォーマントの活動は、社会性を生み出す行為につながっている。ここに、ベックやリポヴィツキーが捉える、現代社会における個人のネガティヴな側面ではなくポジティヴな側面が考察され、個人と公共性の関係、また公共性がつくられるプロセスが把握できるのである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] スペイン・ガリシアにおける移民の歴史と現在-ラテンアメリカとヨーロッパの狭間のガリシア-2010

    • 著者名/発表者名
      竹中宏子
    • 雑誌名

      人間科学研究

      巻: 第23巻第2号 ページ: 257-271

    • 査読あり
  • [学会発表] Analysis of <Le Social> from a Perspective of Individual: A Case Study of Patrimonialization in Galicia, Spain2011

    • 著者名/発表者名
      TAKENAKA, Hiroko
    • 学会等名
      International Workshop "The Anthropology of Europe and its Extending Horizons"
    • 発表場所
      国立民族学博物館
    • 年月日
      2011-01-29
  • [学会発表] Antropologi'a de los albergues.2010

    • 著者名/発表者名
      TAKENAKA, Hiroko
    • 学会等名
      VII Congreso Camino de Santiago
    • 発表場所
      Palas de Rei (Spain)
    • 年月日
      2010-11-27
  • [図書] 人類学ワークブック(竹中宏子「集う-人間関係のなかで生きる」,128-174)2010

    • 著者名/発表者名
      小林孝広・出口雅敏編
    • 総ページ数
      267
    • 出版者
      新泉社

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公開日: 2012-07-19  

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