研究課題/領域番号 |
19520716
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
安井 眞奈美 天理大学, 文学部, 准教授 (40309513)
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研究分担者 |
飯島 吉晴 天理大学, 文学部, 教授 (30184344)
斉藤 純 天理大学, 文学部, 教授 (00319922)
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キーワード | 民俗学 / 文化人類学 / 出産 / 産婆 / 育児 / 子ども / 近代 / 奈良県風俗誌 |
研究概要 |
本研究の目的は、近代大和における産育に関する習俗を、大正初期(1915)年に編纂された「奈良県風俗誌」と呼ばれる膨大な史料群から明らかにし、人々死生観や子どもに対する意識を浮かび上がらせることにある。具体的な研究成果としては、現在する「奈良県風俗誌」80冊について、出産および育児・子どもに関する記述の部分を翻刻し、基礎的な資料集を刊行することである。それゆえ初年度は、奈良県立図書情報館にて「奈良県風俗誌」80冊について、妊娠、出産に関する項目である「第21類冠婚葬祭並びに内祝い」の「懐胎・分娩」と、子どもに関する項目である「第15類育児並びに子ども」のコピーを行い、これを完了した。また、「第21類冠婚葬祭並びに内祝い」のデータの打ち込み作業を80冊すべてにわたって完了することができた。 この他、妊娠・出産習俗を担当した安井は、奈良県天理市福住町にて昭和初期から戦中・戦後にかけての出産について聞き取りを実施した。また同じ頃に、奈良県で活躍していた元・助産婦の女性たちにも聞き取りを行い、両者の内容をまとめた。「奈良県風俗誌」以降、産婆による自宅での出産が、1957年に設立された母子健康センターでの出産に変わっていく中で、妊産婦と助産婦の関係がどのように変化したかを具体的に追うことができた。また、「奈良県風俗誌」自身の性格を明らかにするため、調査・編纂に関わったとされる高田十郎についての文献や関連研究を入手して、研究を進めた。 子どもに関する習俗を担当した飯島は、近代から現代にかけての子どもに係わる儀礼の変化、年中行事の変化について研究を進めた。斉藤は、「奈良県風俗誌」と同時代に刊行された奈良県の地誌類を調べ、その一覧表を作成し、必要な文献の入手を行なった。 以上、初年度の計画を順調に進めることができ、次年度への準備が完了した。
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