研究課題/領域番号 |
19520716
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
安井 眞奈美 天理大学, 文学部, 教授 (40309513)
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研究分担者 |
飯島 吉晴 天理大学, 文学部, 教授 (30184344)
齋藤 純 天理大学, 文学部, 教授 (00319922)
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キーワード | 民俗学 / 文化人類学 / 産育 / 子ども / 近代 |
研究概要 |
最終年にあたる平成22年度は、研究成果をまとめて報告書を作成し、出版にむけての準備を行なった。主な作業は、「奈良県風俗誌」のテキストの翻刻と解説の執筆である。まず、テキストの翻刻については「21類冠婚葬祭並二其他内祝」の「懐胎・分娩」について、現存する「奈良県風俗誌」すべてにわたって翻刻をしたものの確認作業を進めた。次に「15類子供並育児」については、該当の頁数が莫大であるため、奈良市の風俗誌に限って翻刻をすることにした。あわせて、テキストを読みやすくするためのグローサリー作成、写真の選定なども行なった。編集会議を適宜開催し、必要に応じて、「奈良県風俗誌」を所蔵する奈良県立図書情報館にて、原本照合を行なった。 解説については、安井眞奈美、飯島吉晴、齊藤純が各自のテーマに応じ、引き続き資料収集と原稿の執筆を進めた。安井は、「奈良県風俗誌」の成立と特徴、および「奈良県風俗誌」にみる妊娠・出産のあり方、子どもの生活、子どもへの躾けなどの分析を担当した。飯島は、主に産育習俗と呪法の関係を明らかにし、また子供の遊びに関する明治・大正期の資料のなかで「奈良県風俗誌」を位置づけた。齋藤は、「奈良県風俗誌」が成立した時代背景と、郡市町村史の項目に「風俗」という項目が登場する経緯を明らかにした。また研究協力者の柿本雅美は、「奈良県風俗誌」の翻刻作業の協力と、「奈良県風俗誌」を素材にして、子どもの名付けの特徴を明らかにした。以上、各自の原稿と翻刻部分を資料編としてあわせ、本の体裁を整えて、出版の準備にあたった。これらは、『出産・育児の近代--奈良県風俗誌を読む』という資料集として、2011年刊行予定である。「奈良県風俗誌」をもとに、出産・育児の近代を考察し、現代につなげていく研究成果の一部を、出版の形でまとめた。
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