当年度は、佐渡山安公氏所蔵の宮古島の祭祀映像のVHSテープを、DVDに移し替え、デジタル化を中心に作業を進めた。その作業状況は、狩俣地区祖神祭りのイダスウプナカ・アーブガー・ジーバブナ・トゥディアギ・マンサンの映像をはじめ、夏プーイのピャーシ・ニーリの歌謡、カタフツウプナー祭祀、旧正月のトゥクルフン祭祀、ヨーイヌウプナー祭祀などで、DVD108枚(破損等を考慮し、各3枚ずつ作製したので、実際は総枚数324枚)約80時間ほどの分量である。 また、多良間島のシツウプナカの祭りは、パイジュニ・アレイキ・ナガシガージュニ・フダヤーで行われる祭りを記録すると共に、その祭祀集団が老人座・中老座・ブシャ座・クバン座・幹人座などに分かれ、それぞれの役割を果たして祭りが運営されていること、井戸拝みを重視していることなどを調査した。その結果、シツウプナカのシチは「節」で、八重山諸島のシチ(節)祭りでも、井戸拝みを重視するが、それと共通していることが明らかになった。一方、祭祀集団においては、老人座から幹人座まで、すべてが男性中心の組織になっており、女性中心の祖神祭とは大きく異なっているが、その男性のブシャ座は、神女である女性に神酒を捧げることが祭りの主眼であった。 地域における映像資料の活用を考える研究会は、宮古島市県立図書館分館において開催し、更には、「宮古島の神と森を守る会」のシンポジウムにも参加して、宮古島の西原地区の祭祀の現状と課題について、パネルディスカッションを行った。それらの研究会における地域の皆さんの参加者は、女性が多く、祭りの危機を深刻に捉えているのは、女性達であることがわかった。
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