今年度も昨年度に引き続きPAC分析という手法について理解を深め、今後PAC分析を本研究に活用する際の統計処理とデンドログラムの問題点を整理した。その成果はPAC分析学会大会を初めとする研究会での口頭発表や論文として公開されている。PAC分析研究においてこの問題について取り組んだ研究がこれまでなかったため、今後のPAC分析を活用する研究者やPAC分析研究を参照する者にとって有益な情報となったと思われる。 ただし、その結果、PAC分析のインタビュー・データの取り扱い(特に解釈・分析、そして記述のありよう)についてこれまでよりもさらに検討を重ねる必要があることも判明した。今年度はインタビュー・データに基づく質的研究のありようをPAC分析法との関係から検討し、本研究に最も適した方法を見定める予定である。 一方、質問紙調査については、昨年度実施したパイロット調査の結果を分析し、本調査で使用する質問紙を完成させ、本調査を実施した。今年度それを、因子間の相関を見ることが可能な構造方程式モデリング(SEM)を活用して分析を進める予定である。 このように質的・量的調査実施の環境が整ったことを受け、昨年度はPAC分析を用いた経験教師4名のデータを採取した。一方、質的調査の協力者選定に時間がかかったこと、調査実施にも本研究申請時より多くの時間を割く必要が出てきたことなどから、昨年度中に質的調査協力者全員からデータを集めることができなかった。今年度は経験教師1名、新人教師5名からデータを集めると共に、データ分析を進める予定である。
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