本研究では、新人日本語教師・経験日本語教師が日本語の授業を観察した際にどのような実践的思考(授業に関する実践知を用いた思考)を展開するのかを解明することを最終目標におき、質的調査を主とした複数の手法による調査を実施して、普遍性・個別性の2方向から分析し、研究方法を確立することを目的としている。 また、上述の実践的思考に関与する要因を特定し、実践的教授能力を育成するための理論や方法論を構築することも重要な目的としている。 具体的には被験者である教師達に授業を見て感じたことをその場でそのまま即興的に語ってもらって得たプロトコルと授業観察語のレポート、PAC分析法を活用したインタビュー、ビリーフ質問紙調査などを組み合わせて調査する。 それによって、日本語教師が実践場面でどのような実践知を用いた思考をしているかを新人教師・経験教師というグループごとの傾向と個性の特徴との両方の観点から指摘し、教師の実践的思考に影響を与える要因を解明する。そして本研究の総括として、同種の調査をする場合に有効な調査方法と、本研究の成果に基づいて教授能力を育成する方法とを提案したい。
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