研究概要 |
第一に,(1)〜(4)の作業を行った。 (1)ブラックストン著『イングランド法釈義』本文中に無数にちりばめられている法律用語及び法概念を,その本文の文脈に即して抽出することで,著者本人による解説付の「法律用語・法概念集」の機能を果たす基礎資料を補充作成する。 (2)『釈義』に封する19,20世紀の脚註・註釈書・実務手引書から,『釈義』の行論上重要な引用先例に対して上記手引書等が付加する,最近の「類似判例」を抽出し,「引用判例の系譜」集を作成する。 (3)代表的な法律事典(law dictionary)における参照・引用例を(1)(2)から抽出し,一覧表化する。 (4)英米におけるいわゆる重要判例の若干における,参照・引用事例を(1)〜(3)から抽出し,一覧表化する。 第二に,『釈義』が果たした現実の法に対する影響例の典型として,「アメリカへのイギリス法の継受は、ブラックストン『釈義』に負うところが大である」という,従来の英米法学によって行われてきた言明を検証する論文の執筆に取り組んだ。これは平成20年度中に発表する予定である。 第三に,『釈義』が,中世のイングランド法と,近代のアメリカ法形成との橋渡しをした一例として,前者における反逆罪にかかわる立法ないし判例が,『釈義』を通してアメリカで学ばれ,それがさらにアメリカ建国時における厳しい政治状況により独特のニュアンスを付加されて,アメリカ法特に合衆国憲法の規定として結実し,現実にも奇妙な適用をされていったさまを研究する。これは平成20年度中に論文として発表することを目指す。
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