3ケ年計画で行われる本研究の初年度において実施した研究は、以下の通りである。 1 関係史料・文献の調査・収集 (1) 仙台藩警察機構関係の史料・文献を、主として東北大学附属図書館・東北大学文学研究科・宮城県図書館・東北歴史博物館等を利用して調査・収集した。 (2) 江戸幕府及び和歌山・鳥取等の諸藩警察機構関係の史料・文献を、主として国会図書館・矯正協会強制図書館を利用して調査・収集した。 2 収集史料の分析・検討 (1) 仙台藩警察機構の末端組織を追究するためには、それを城下と在方の分けて分析する必要があるが、仙台藩では、城下の警察を担当する小人目付・同心・目明しがいずれも在方にも出張して警察活動を行い、そのために彼等は在方にもその手先を有しており、その実態が判明した。 (2) この在方の手先の存在をめぐり、同心等の在方での活動にその手先が必要とする町奉行と、その存在は農村に弊害をもたらすので禁止すべきとする郡奉行との間に確執があったが、被差別民を警吏に利用したことから、小人目付と町奉行との間にも確執があったことが判明した。 (3) 以上の点からすると、幕府の警察機構との比較をするためには、江戸の町奉行所のそれよりも、火附盗賊改及び関東取締出役のそれが重要であることが鮮明になった。 3 未刊史料の筆耕及び研究成果の授業での活用 (1) 主として仙台藩関係未刊史料の一部について筆耕を行い、活字化に向けての準備を行った。 (2) 研究成果の一部を、東北大学法学部の授業「日本法制史II」(テーマ:仙台藩刑事法概説)において活用した。
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