第1に、中世盛期にライン河中流域の32の城塞について、第2にドイツのその他各地域に考察範囲を拡大し、50以上の城塞について、その周囲に形成された城主の支配権がフランス型のシャテルニー(城主支配圏)として把握できることを解明した。第3に、ドイツ王国の全領域に、さらにドイツ王国と共に神聖ローマ帝国を構成したイタリア王国とブルグント王国にも、城塞の周囲にフランス型のシャテルニーが存在したことを解明した。この研究成果はドイツと日本の歴史学・法制史学において初めて獲得された学問的成果であり、11-13世期までの中世盛期を歴史的にシャテルニー段階として措定するための基礎になるという学問的意義をもつ。
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