本研究の課題は、<「個人の自由」と「国家統合」とを相互に結び合わせつつ追求する>という特殊な意味での「国民主義」に結晶化していく思想が、西洋史においてどのように生成し、とりわけ近世・近代において多様な思想家に担われ政治過程にどう作用したかを解明し、西洋史におけるこの問題意識の連続性と時代や国ごとの偏差、その重要性を示すことによって、政治的思惟の成長過程を明らかにするとともに、政治思想史研究に新しい視点を提示することにある。本研究では、考察の焦点をマキァヴェッリ・ヘーゲル・ヴェーバーの3人に当て、上記思想の連続性と時代的差異、および国による違いにも配慮しながら認識を進め、それの理論的問題をも考える。
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