本年度は、東アジアの諸国のうち、比較研究の対象を中国に絞り、研究を進める。 I.文献研究--本研究では、法哲学・法思想史や法社会学などの基礎法学と、民事訴訟学の分野の研究が中心となる。従って、第一の軸として個々の専門分野に立脚した文献研究を行った。また、各自の文献研究の成果については、基本的には代表者中核としつつ、連携研究者・海外共同研究者・研究協力者との間で緊密な情報交換をおこない、研究会での実質的な議論にそなえた。 II.研究会 国内での研究会--おおよそ3ヶ月に一度、研究会を行い、代表者と連携研究者の個別研究の成果を共有するとともに、海外での研究会その他の準備をおこなった。 海外での研究会--個別研究の成果を共有するとともに、成果の公表に向けた準備をおこなう。 今年度は、南京師範大学の趙莉氏を中心としたグループとの間で、共同研究を行なった。現在中国において経済発展にともない、顕在化している消費者問題・消費者トラブルの解決手続き焦点を当て、日中それぞれの実情・課題などを報告し、討論を行った。成果を日中両国語でまとめ、出版の準備を具体的に進めている。併せて、より俯瞰的な図式の中で、議論を行うために、比較法的観点・法哲学的観点からの共同研究を、長春工科大学の李氏(東北亜比較法研究所副所長)と行った。 III.研究の成果の公表--本研究は、シンポジウム及び出版という形で、成果を公表する計画であるが、今年度は忠南京師範大学の趙莉氏を中心とするグループとの共同研究に関する出版(日中両国語)を具体的に進めている。また、昨年度行ったアメリカ合衆国での補完的な調査を踏まえ、より射程の広い議論を展開するために、長春工科大学でのシンポジウムにおいて、報告(裏面を参照)をし、活発な議論を行った。この成果についても、既に出版が進められている。
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