平成20年度に予定していた課徴金についての論文執筆は先送りとなっている。その理由は、課徴金改正を含む独占禁止法改正案が「ねじれ国会」において審議されないまま継続審査となっており、衆議院解散により廃案になるおそれもあることから、内閣提出法案を前提とした論文執筆にはリスクがあり、この問題について論文をまとめるのは時期尚早と判断したからである。 他面、租税滞納処分の実効性確保については、三重県地方税管理回収機構のような組織面からのアプローチと浜松市債権管理条例のようなアプローチについて具体的に研究を進めることができた。そして、行政上の実効性確保の問題をより広い視点から法的整合性確保の一環の問題ととらえ、論文を執筆することができた。 また、平成20年度においては、C型肝炎資料放置問題、「消えた年金記録問題」等、文書管理法制の実効性の欠如が明らかになり、公文書管理の在り方等に関する有識者会議で公文書管理法案の審議が行われた。私もこの問題に関心を持ち、実効ある公文書管理法制はいかにあるべきかについて研究を進め、論文を執筆した。さらに、地方公共団体においても、大阪市、北海道ニセコ町、熊本県宇土市のように文書管理条例を制定している団体について情報を収集し、実効的な文書管理条例について研究を行った。
|