研究課題/領域番号 |
19530027
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
磯部 哲 獨協大学, 法学部, 准教授 (00337453)
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研究分担者 |
中山 茂樹 京都産業大学, 法学部, 准教授 (00320250)
佐藤 雄一郎 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (70326031)
高山 佳奈子 京都大学, 法学部, 教授 (30251432)
小西 知世 筑波大学, 人文社会系研究科, 准教授 (90344853)
石井 トク 日本赤十字北海道看護大学, 教授 (10151325)
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キーワード | 医行為 / 看護 / 介護 / 業務独占 / 患者の安全 |
研究概要 |
本年度は計4回の研究会を開催した(9/30、12/9、1/27、3/16)。本年度の研究費は主として、これら研究会への参加費用(旅費)及び会合運営のための最小限の環境整備費用(パソコン、レコーダー等の購入)に充てられている。 研究会全体を通じて、「医行為」の規定及び解釈をめぐる問題点や、たん吸引・AED等をめぐる近時の業務開放の動きを把握するなど、基本的な情報の共有が果たせたと思われる。 他方で、平成19年には、政府の規制改革の中で医療従事者の役割分担の見直しが議論されたほか(規制改革会議「規制改革推進のための第2次答申-規制の集中改革プログラム-」平成19年12月25日)、「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」(医政発第1228001号、平成19年12月28日)が発出されるなど、状況はめまぐるしく変化し、混迷もいっそう深まっているようにも映る。医師不足または勤務医の負担軽減が深刻かつ喫緊な課題であるとしても、その処方箋として、徒に即効性や効率性を追求し患者の安全をないがしろにするようなことがあってはならないこともまた言うまでもない。いっそう慎重な考察を行うことに加え、本研究が迅速な成果を出すことの必要性を痛感している。 今年度の研究会では、とりわけ刑事法の観点からの研究が進んだように思われる。現行の運用のような、規制範囲を広くとり実質的違法性阻却で結論を決めるという方法論は限界があり、むしろ医行為の解釈自体を限定する方向で見直すべきこと、したがって家族の行為などはそもそも構成要件該当性もなく、また家族でない人が同様の行為をする余地も認められるのではないか等、具体的な指摘もなされていた。次年度も、改革の動きにも留意しつつ、患者の安全を確保するための法解釈を探究することとしたい。
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