研究課題/領域番号 |
19530036
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
築島 尚 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (60275005)
|
研究分担者 |
竹内 真理 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (00346404)
玉田 大 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60362563)
|
キーワード | 国際裁判 / 国際投資紛争 / 損害賠償 / 国家管轄権 / 域外適用 / アカウンタビリティー / 行政 / 官僚制 |
研究概要 |
本研究は、国際的制度主体として役割を増す国際機構の責任をめぐり、内部関係におけるアカウンタビリティーの問題を組織面から、また、対外関係における一主体として国際法上の実体面からそれぞれ分析することを目的としているが、本年度の研究実績は以下の通り。 1.組織面における分析 (1)行政機構の国際的比較研究(築島) 構成員のアカウンタビリティーが明確になる国際機構の構成原理を求めて、行政機構における職位の体系と実質的権限の所在を日本とドイツで比較検討したところ、日本では、同一職務に関連する職位が多層化し、かつ、専門性とともに実質的権限が中下層職員に偏り、責任が曖昧となりがちである一方、ドイツでは、フラットな組織体系にあって上層職員が名実ともに決定権を握る傾向にあるが、裏腹に中下層職員の士気確保が難しいことが明らかになった。なお、日本に関する研究の一部は、本年度3月、「ノンキャリアによる天下りの規模に関する一考察」と題して、下記「11.研究発表〔図書〕」に入稿した。 2.実体面における分析 (1)国際機構の対外的責任に関する研究(竹内) 国際責任理論と管轄権理論との関連を検討するために、刑事法の域外適用法理における保護主義を取り上げて、歴史的な変遷を跡付けることで、国家責任法と管轄権理論との機能分化の過程について分析を行った。保護主義については、国家の安全や通貨などに関わる国家の権利保護が、従来から管轄権理論へゆだねられてきた一方、最近の密輸やテロリズムなどの分野については、国家責任法と管轄権理論との協働を指摘することができる。 (2)国際責任の認定に関する研究(玉田) 国際責任の認定基準と効果を分類するため、主に国際投資紛争を題材として、損害賠償法の基礎理論を分析し、判断傾向の類型化を行った。特に重要な点は、投資受入国の違法行為類型に依存する形で損害賠償の算定方法に大きな違いが見られる点である。この点について、従来の国家責任法(不法行為責任)との連続性よりも、むしろ国際投資法上の独自の発展を指摘することができる。
|