研究課題/領域番号 |
19530037
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
多田 望 熊本大学, 大学院・法曹養成研究科, 教授 (40274683)
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研究分担者 |
釜谷 真史 西南学院大学, 法学部, 准教授 (30363302)
北坂 尚洋 福岡大学, 法学部, 准教授 (60346129)
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キーワード | 国際私法 / 電子商取引 / 電子船荷証券 / 間接保有証券 / 電子債権 / 国際取引法 / 国際民事訴訟法 / EDI |
研究概要 |
本研究は、現代におけるIT技術の発達により電子化された「船荷証券」(B/L)、株券・社債券等の「証券」および「金銭債権」を対象として、これらを用いた国際取引にかかわる物権および債権の移転に関する抵触法上の諸問題(準拠法決定、国際裁判管轄、さらには国際的執行)を考察し、これを解決するための各種のモデル(国内抵触法規則、条約等)を比較研究することにより最適な抵触法モデルの開発を試みるものである。 本年度は本研究の端緒として、九州国際私法研究会において本研究の趣旨説明を行い、これを受けて、B/L、証券および債権の電子化システム、ならびに権利移転に関する従来型抵触法理論の情報収集を中心に行った。具体的には、電子B/L(多田)、間接保有証券(北坂)、電子債権(多田)、従来型権利移転準拠法決定(釜谷)の分担で、日本および外国の文献の収集を行い、これらに関して理解を深めた。この中で、権利から、権利の証券化、さらに、現代における証券の電子化または非物質化の過程において、電子化または非物質化によって紙から切り離されたモノが単純に権利であると考えられるか否かの検討が、抵触法モデルの開癸において重要であるとの知見に至った。電子債権に関しては、日本の電子記録債権が手形債権とも指名債権とも異なる類型の債権であるとともに、「指名債権の電子化」または「手形の電子化」と位置づけることは適切でないとの視点も共有できた。 また、2008年12月にUNCITRALにおいて新運送法条約(ロッテルダム条約)が成立し、この中で電子船荷証券の国際取引における有効性が確認された。これにより、電子船荷証券の法的基盤が確立されていくことになる。研究の締めくくりとして、同条約の分析を進めた。
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