標記の研究課題にかかわって、今年度は、先住民族およびマイノリティの権利に関連した研究を主として追求した。 研究代表者は、国際学会である国際法協会(ILA)の先住民族の権利委員会に所属し、2007年に国連総会が採択した「国連先住民族権利宣言」の権威ある注釈作業に従事した。なかでも、先住民族の知的財産権および文化的権利について、特に第一草案を起草することを託されており、現在作業中である。この件について、2008年8月にブラジルのリオデジャネイロで開催されたILA大会に参加し、委員会で報告を行った。 また、先住民族もその一部をなす、マイノリティ研究についても一定の成果を発表することができた。2008年11月に、関西大学マイノリティ研究会主催の研究会で、「国際法学におけるマイノリティ研究の動向」と題する講演を行った。これは、現代のマイノリティ研究が1920年代の研究の出発点から見て、第2の波として捉えることができることを述べたものであり、マイノリティ研究センターが発行する雑誌『マイノリティ研究』に発表される予定である。 また、国際法秩序における民主主義について、昨年度の国際法学会での報告に加筆修正した「国際法秩序における民主主義の機能」を『国際法外交雑誌』に掲載した。
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