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2009 年度 実績報告書

国際司法裁判所における証明責任法理及び証拠法の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19530041
研究機関桐蔭横浜大学

研究代表者

内ヶ崎 善英  桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (70257426)

キーワード国際司法裁判所 / ジェノサイド事件 / 証明責任 / 国連法 / コンゴ事件 / 証拠法 / 国際裁判 / 法発見
研究概要

平成21年度は、行き詰まりとその打破の年となった。19年、20年と積み重ねてきた研究が壁にぶつかり、そこで得られた知見だけでは国際司法裁判所に必要な証拠法の研究に十分でないことが判明した。というのは、国際司法裁判所は、jura novit curiaの原則により当事国の主張していない法規を適用し判決に至ることができる。その際に生じる問題は、当該法規に必要な要件事実が当事国によって証明されていない可能性があることである。かくして国際司法裁判所は、職権で証拠集めを行うか、第三者機関により収集された証拠に依拠せざるを得ない。法適用型の裁の判所であれば、自由な法発見は制限され、当事国が主張していない法規を適用する可能性も少なくなるが、このような裁判所は、背景に十分な権限を有する立法府が存在しているか、あるいは、内容の豊かな法体系を有し、そのゆえに法解釈を存分に展開できる状況にあることを前提とする。そのような状況あるいは背景を欠く裁判所は、法発見型裁判所のようにフリーハンドに法発見できねばならず、発見された法の適用に必要な事実は、当事国の提出する証拠の範囲を超えることとなろう。以上の考察は、国際司法裁判所の証拠法について考えるためには、国内の民事訴訟法の検討だけでなく、憲法訴訟や刑事訴訟法の諸原則の研究も必要であるという結論を導く。国際司法裁判所は、私的な紛争の解決だけでなく、国連法の裁判所として公益を保護するための裁判をも行う責任を負っており、このような公益保護のための裁判は、国内法においては刑事訴訟や憲法訴訟として構成されるため、それらの諸原則をいかにして国際司法裁判に取り込んでいけるかが課題となる。
フランス民事訴訟法の研究を継続しつつも、ジェノサイド事件の研究からもたらされた上記の行き詰まりを打破することに思索を集中した一年となった。

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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