今年度は、家族会議(Conference de la famille)事務局を訪問し、同会議が少子化対策施策の決定に関しどのような役割を果たしているのか、個別の少子化対策立法にどの程度影響を及ぼしているのかについてヒアリングを行った。また、家族会議の主要なメンバーであり、家族運動を展開する9全国団体である家族教会全国連合(Union nationale desassociations familiales)及び家族手当全国金庫(Caisse nationale d'allocationsfamiliales)を訪れ、家族会議を中心とした政策決定との関わりについてヒアリングを行った。 また、アソシアション(association)と呼ばれる公益団体のうち、児童の養育・教育を行っている集団教育協会(Assocaition de Groupements Educatifs)を訪問し、その活動実態を調査した。このほか、引き続き関係資料の収集に努めるとともに、自立連帯金庫が主催してパリで行われた介護問題のシンポジウムに参加し意見交換を行った。 以上の調査を踏まえ、フランスの少子化対策の全体像を明らかにすることを目的として「フランス少子化対策の系譜一出産奨励策から一般施策へ一」を執筆するとともに、調査の経過報告を「フランスの少子化対策」として社会保障の専門誌に掲載した。また、連携研究者である原田は、少子化対策の中心である出産支援策を取り上げ、「フランスにおける医療・出産保険と家族政策(一)(二)-出産支援の理念とその具体化の変遷-」を執筆した。
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