「ILOの技術協力活動と法整備支援-インドネシア・カンボジア労働法制を素材に」(以下、本研究と略称)は、アジア労働法の急激な変容に大きな役割を果たしてきているにも関わらず、必ずしも労働法分野において十分に受けとめられなかった、「法制整備支援」という観点から、アジア労働法を分析しようとするものである。 本研究の成果としては、(1)インドネシア労働法制、カンボジア労働法制について、最近の状況を含めて明らかにすることができたこと、(2)アジア労働法の近年のダイナミックな「変容」とその「要因」を探る素材を得られることができたこと、(3)実証的な研究を行うことにより、ILOの「機能」の「変容」について分析を行えたこと、(4)労働法整備支援の課題に関する理論的分析の素材を用意できたこと、(5)ILOのプロジェクトサイト、行政機関との密な関係を構築でき、自ら、労働法制の法整備支援の一翼を担うことができたこと、である。 このように、本課題の研究を通して、アジア労働法研究、ILOと国際公正労働基準の研究、法整備支援という観点から、新しい研究の地平を開くことができたという成果を上げられたと考えている。
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