研究概要 |
1.本研究の目的は,捜査段階で生じうる処分対象者に対する不当な権利の侵害・制約につき,対象者にとってより直接的かつ適切であり,また刑事司法全体の運営の中で効率的かつより負荷の小さい権利救済手続を構想する上で,不可欠な理論的基盤を獲得することにある.現行準抗告制度をはじめ,直接的な権利救済に資する制度は存在するが,それらは必ずしも救済制度を主目的としてこなかったこと,その一方で行政事件訴訟法,行政手続法といった隣接制度の発展に比して旧来のままになっていること等に鑑み,前述の研究は重要なものと考える. 2.今期は,制度比較の対象としてドイツ法における権利救済につき知見を深めるともに,わが国における行政救済法における議論を概観した.また,権利救済の対象となる事案が,もともとどのような法的規律におかれているかという観点からもアプローチを試み,とくに行政法における規律と捜査法におけるそれとの異同も,分析・検討の視野に入れながら研究を進めた.
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