本研究では、一方で、刑事手続の流れという時系列を念頭に置きつつ、他方で、(1)被害者の「保護」、(2)被害者への「情報提供」、(3)被害者の「参加」、(4)被害者の「損害回復・救済」という4つの主要論点について問題点を整理・分析し、刑事司法における犯罪被害者の地位や権利・権限、利益の保障に向けた総合的・包括的施策策定のための基盤研究を行うことを目的として研究を行った。これと併行して、裁判員裁判の場合にどこが一般の刑事裁判と異なる扱いを必要とするのかに十分留意して、検討を進めた。具体的には、研究代表者を含め従来行われてきた研究成果も十分踏まえつつ、幾つかの点で創意・工夫を凝らすことを計画し、被害者論ないし被害者の地位や権利・権限論を検討し、これまでの総括と今後の課題・展望を明らかにした。
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