研究概要 |
本研究の目的は、ドイツ法を参照して、相続に関する予防法学的措置、および、特に遺留分を対象とする制限、ならびに、その問題点を検討することである。2007年は、以上の目的のために、ドイツの予防法学的措置、特に、先取りした相続(vorweggennomene Erbfolge)、遺留分条項(Pflichtteilsklausel)、および、遺留分に関する最近の動向を中心に検討を進めた。 添付の業績の、「事業承継と遺留分」では、2008年度に立法化された経済産業省を中心とする事業承継に関する民法の遺留分の特別措置の法律の立法の過程で、遺留分の全体的文脈の中で事業承継と遺留分の関係を検討し、予防法学の重要性を強調したものである。最終的な立法も、予防法学的措置のモデルを提供したような内容となっていると考える。また、Bereicherungは、わが国とドイツ法の相続の過程での債権の帰属を検討したものである。 さらに、2007年度の予算を延長したドイツの現地調査に関しては、延長の申請通りに、2008年9月23日〜10月2日まで、調査を行った。具体的には、チュービンゲン大学、ミュンヘン大学、ハンブルグのマックスプランク研究所にて、特に、現在進行中のドイツの遺留分を中心とする相続法の改正に関する動向、および、予防法学的な措置の聞き取り調査を行った。ただし、この改正は、従来十分に議論された範囲内での、小規模のものに止まりそうである。その過程で、Erbenhaftung des Vertretenen,der den Vertreter ohne Vertretungsmacht beerbt,und des Vertreters ohne Vertretungsmacht,der den Vertretenen beerbt,im japanischen Rechtを持参し、ドイツ人研究者と議論した。本論文は、2009年出版の、Festschrift fur Dieter Medicus zum80.Geburtstag,Heymann,S.109ffに掲載予定である。以上に関しては、2008年度の成果報告書に詳細に記する予定である。
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