研究概要 |
本年は、主に、相続財産の生前処分による信託的譲渡という側面から相続財産の処分に関する処置を検討した。その際の問題の中心は、ドイツ法ではいわゆる「先取りした相続(vorweggenommene Erbfolge)」及び、遺留分に対する予防法学的な措置である。以上に関しては、一定以上の研究は進めたと考えるが、成果の発表は次年度に持ち越さざるを得なかった。さらに、現在ドイツでは遺留分を中心とする相続法の改正作業が進行しており、当初は昨年度に改正案が連邦議会で可決される予定だったが、現在も審議が継続しているようである。上記の研究成果の公表を延長したのは、以上の事情とも関係している。ただし、法改正に対する評価、見通しに関しては、2008年9月23日〜10月2日までのドイツでの聞き取り調査で追跡した。 他方で、以上の研究の側面支援である相続財産と生前処分の区別に関しては、出版の日付は、2009年4月1日であるが、藤原正則「他人物売買・無権代理と相続-ドイツ法の紹介とわが国の議論との対比」新井誠・山本敬三編『ドイツ法の継受と現代日本法』127頁〜149頁、及び、2009年5月に出版予定の、Masanori Fujiwara, Erbenhaftung des Vertretenen, der den Vertreter ohne Vertretungsmacht beerbt, and des Vertreters ohne Vertretungsmacht, der den Vertretenen beerbt, im japanischen Recht, in Festschrift fur Dieter Medicus zum 80. Geburtstag, Heymann, 2009, S.109-S.123は、本年度の研究である。
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