研究課題
本研究の目的は、ドイツ法との対比で高齢社会の下での生前処分、死後処分を含めた遺産承継について検討することである。2007年、2008年は、信託的な譲渡のための予防法学的措置、および、このような措置が最も考慮しておくべき遺留分に関する問題を中心に、各論的な検討を行った。その上で、2009年には、ドイツ法と日本法の比較をするために、両者の対称的な制度を検討した。具体的には、他人物売買・無権代理と相続という問題である。これに関する両者の違いは、不動産の処分に際しての本人確認の方法、及び、相続債務に対する相続人の責任制限のための法制度(限定承認、遺産整理)の違いに由来するという結論を得た。今1つの検討の対象が、ドイツの相続法の改正論議だったが、2009年12月末に相続法の改正案が連邦議会を通過した。そのために、研究期間を延長して、2010年は改正された相続法を検討した。具体的内容は、(1)遺留分剥奪事由の現代化、(2)介護を寄与分と認めるよう要件の緩和、(3)遺留分補充請求権の猶予の拡大、(4)遺留分補充請求権の時効期間10年を、1年ごとに10%ずつ漸減すると改正したのが、主な点である。以上の法改正の目的などに関しては検討したが、その予防法学、実務への影響に関しては、未だに不確定な点が多いようである。ただし、以上法改正の検討により一応の研究目的は達成したと考えている。
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すべて 雑誌論文 (22件)
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