研究課題/領域番号 |
19530066
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
樫見 由美子 金沢大学, 副学長 (20176829)
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研究分担者 |
川副 加奈 金沢大学, 法学系, 准教授 (70377373)
福本 知行 金沢大学, 法学系, 准教授 (80362010)
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キーワード | 自己決定権 / 医療過誤 / 慰謝料請求権 / 不法行為 |
研究概要 |
本研究は、医療における子どもの自己決定権について、(1)自己決定権の成立の問題、(2)自己決定権の侵害に対する法的救済の問題、(3)必要な医療行為に関して、子の意思と親の意思とが異なる場合における子の自己決定権の確保をめぐる問題、以上三つの検討を行うことを目的とする。平成19年度は、上記の検討を行うための準備期間として、それぞれの項目に関する法的状況を調査するために、我が国の文献や比較法的視野からの外国の文献を調査するとともに、子どもの自己決定権に関する「親」の意識調査を実施するためのアンケート調査項目作成にかかる準備作業を行った。本年度は、昨年度の成果を踏まえて、(2)については、自己決定権侵害に対する法的救済は通常、慰謝料に基づく損害賠償請求権が問題となるが、第三者(医療人)と親・子との関係の場合、親と子との場合で区別して、それぞれの場合について、救済内容を検討した。(3)については、当該医療行為の必要性から社会的に認められる合理的意思と親の意思とが一致しない場合において、家庭裁判所の審判により親の親権を部分的に剥奪する手続の法的妥当性について検討する作業を行った。なお(1)については、この問題に関する「親」の意識調査を行い、小・中・高校生のそれぞれの保護者につき約500名に対してアンケート調査を実施し、約300名のアンケートが回収され、それについての集計作業が終了した。現在その分析に入っている。この種のアンケート調査は、調査数やそのアンケート項目について、他に例がなく、分析結果を後日公表の予定であり、この種の問題の検討に大いに参考になると考える。また医療行為における子どもの自己決定権が成立する時期・当該の医療行為に対する親の意思と、医療行為の必要性から社会的に認められる合理的意思又は子どもの意思とが一致しない場合における法的解決をどうするかの理論的検討を行った。
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