研究課題/領域番号 |
19530067
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
長谷川 新 関東学院大学, 法務研究科, 教授 (00277740)
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研究分担者 |
渡邉 昭成 国士舘大学, 法学部, 准教授 (90329061)
坂本 真樹 静岡大学, 人文学部, 准教授 (40467220)
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キーワード | コンプライアンス / 公正開示規則 / クレイトン法 / prima facie evidence / 暫定的差止命令 / EC条約82条 / 不当な高価格設定 / 量刑ガイドライン |
研究概要 |
本年度は、前年に引き続き、欧米で事業展開を行う企業の法令遵守体制の整備・構築に関する研究を継続した他、当初の予定通り欧米における競争法の域外適用問題、並びに国際カルテルに対する各国監督当局の活動に重点を置いて研究を行った。特に、マリンホース・カルテル事件は、日米欧に跨る大規模な国際カルテルであり、米国司法省が主導的に摘発を行い、2008年12月8日には日本企業の役員が反トラスト法並びに海外腐敗行為禁止法(Foreign Corrupt Practices Act)に違反したとしてヒューストン連邦地裁において有罪答弁を行い、同月10日に禁固2年、罰金8万ドルの判決が下されている。その際、Garza米反トラスト局長代行は、「米国の消費者に損害を与える国際カルテルの訴追は、反トラスト局最優先事項であり続ける」との談話を発表している。本件は、黒鉛電極カルテルとの比較においても重要な事件であり、日米英それぞれ(特に米国)の観点から検討を行った。また、欧州における競争法の域外適用問題に関しては、当初の予定通り、英国法を中心に研究を行った。これによって、英国競争法は、自らの域外適用に関しては消極的であり、経済的一体理論、実行理論により立法管轄権を行使できる場合にのみ、域外適用を行うことが明らかとなった。同時に、英国においては、外国競争法(特に米国反トラスト法)の域外適用に関しても、一貫してそれを妨げる判決が下され、また、その内容を包括的に定める法律が存在することが明らかとなった。欧州については、他にも、EC条約82条に特有の概念である、不当な高価格設定の概念についての研究を継続し、「超過価格設定」概念の展開、並びにそれに対する優越的地位の濫用規制の適用についての検討を行った。 また、暫定的差止命令に関する基礎的研究を継続して行った。 以上を踏まえて、最終年度であるので、全体のまとめを行った。
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