研究概要 |
(1)比較法研究 まず,手続的な法化の意義を明らかとするための準備として,国際的な法化状況を把握するために,その前提たるADRの問題点について比較法的な見地から検証を行う。次に,具体的な法化の成果について,とくに複数の司法圏に適用可能なものとして現実化したもの(たとえば,UNCITRAL商事仲裁/調停モデル法,ADR国際規格,家事調停にかかるEU指令,統一調停モデル法など)を収集し,法化における共通項の析出を試みる。 (2)国内における手続面についての法化の調査・研究 まず,手続的な法化に関しては,最も法化の必要性が強く,また実際にそれが現実化している消費者紛争に焦点を当て,紛争の特殊性,訴訟における救済の限界性,当事者の手続進行上の特性などの点を機軸としてADRの法化状況を分析する。また,ADR法により認証を受けた民間型ADRについて,認証基準による規律という法化によって,手続運営や紛争解決にどのような変化が生じたのかについて,経年的な調査を開始する予定である。 (3)国内における実体的な面についての法化の調査・研究 次に,ADRにおける実体的な規範の法化に関しては,まず準備的な作業として,日本法の議論において調停規範や仲裁規範という概念がどのような機能を果たしてきたのかを考察する。ここでは,理論研究のほか,民事・家事調停委員に対するインタビュー調査なども併用し,実態の把握に努めることとする。
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