平成21年度に実施した研究の成果は以下の通りである。(1)平成20年度に実施したアンケート調査(「不動産登記手続のオンライン利用による申請の意識調査」実施地:愛媛県松山市中島他離島6島)の解析結果について、調査実施地の行政担当部局に出向き説明を行い、それに対する意見聴取を行なった。(2)(1)の聴取を受け、行政施策の観点から改善の手がかりをさぐるために、行政法の専門家を交えて研究会を開催した。(3)(1)(2)の意見を取りまとめ、不動産登記手続のオンライン利用申請が促進されない要因の解消にはいかなる方法が考えられるが検討を行った。たとえば、制度の周知では克服でにないハード面整備の地域格差を埋めることは難しいため、他の地域振興策と関連させて行政システムすべてのオンライン化を実現することが現実的であること、司法書士、土地家屋調査士の実務のオンライン化といった関連業界の理解と連携が不可欠である等である。確かに、近年、研究対象地でも、不動産登記のオンライン申請が増加しており、手数料の軽減等が、オンライン申請の利用を促している。しかし、本質的な問題解決は、住基ネットの普及等を含めた行政サービスすべての基本情報が整備されることがめざされたければ、不動産登記のオンライン申請状況が画期的に改善されることは望めない。この点の方針については多くの問題がある。 なお、本研究は、具体的な提言案を示さねばならない。そこで、これまでの検討結果から導いた具体的提言を論文として公表する予定である。
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